薄れる記憶:日本海中部地震から25年/上 「切り札」耐震工事進まず /秋田
◇災害への危機感弱く
83人もの死者を出した日本海中部地震から、26日で四半世紀を迎えた。近年も各地で大規模地震による被害が相次ぎ、中国では死者が6万人を超す四川大地震が起きた。だが備えという面では、県内に目立った動きが見えないのが現状だ。惨事の記憶とともに、県民の防災意識は薄れていないだろうか。【馬場直子】
http://mainichi.jp/area/akita/news/20080526ddlk05040003000c.html
「うちは大丈夫、と思っているんでしょうか」。秋田市のリフォーム会社の設計士は、こうつぶやいた。
外壁や柱が傾き修理の顧客宅を訪問した際、耐震の診断や改修の話をしてもたいていはピンと来ない様子。注文のうち耐震関連を含む工事は1割にも満たない。
「家が倒壊するということを想像できないのか、大がかりな工事が必要と考えて敬遠するせいか。補強によってかなりの被害を防げるのに」
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国の地震調査研究推進本部によると、秋田市で30年以内に震度6弱以上の地震が発生する確率は1・5%。静岡市の86・8%や甲府市の82・3%と比べ、はるかに低かった。
ただ県内には43の活断層があるとされ、秋田沖には地震が起きた記録はないものの兆候が残る「空白地域」もある。この地域は、いずれマグニチュード7以上の地震が発生すると考えられる。
それは、いつか。秋田大工学資源学部付属地域防災力研究センターの松冨英夫センター長は「事前に予知するのはかなり難しい。確率が低いからといって、安心はできない」と話す。
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予測できない地震への備えとして、避難や救急医療体制の整備以上に有効な対策とされるのが建物の耐震化だ。水田敏彦・秋田高専准教授は「改修によって想定される死者数を8~9割減らせる」と明言する。
81年の建築基準法改正で、震度6強~7程度でも倒壊しないよう求める基準が導入された。95年の阪神大震災の死者の88%は建物倒壊による圧死と見られ、この基準を満たした住宅に大きな被害はなかったとされる。
県内の住宅38万2000戸のうち、基準を満たす割合は63%、つまり3分の2以下にとどまる。3階以上、床面積1000平方メートル以上の「特定建築物」2840棟でも71%しかなく、耐震改修が必要なのは14万1820カ所に上る。
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県は耐震化率を2015年度までに住宅80%、特定建築物90%にする目標を立てた。
住宅1戸平均で耐震診断に5万~6万、改修だと200万円かかるといわれる。これまで県内では全額自己負担だったが、今春には県や秋田市の補助制度がスタートした。
それでも見通しを楽観はできない。耐震化が遅れているのは、補助制度が先行する地域も含めて全国的な傾向だからだ。
水田准教授によると、複数の自治体で上限50万~150万円の補助制度がある神奈川県でさえ、制度を使った改修は1615戸。負担額の重さだけがネックではないと指摘する。
「人ごとと思わず、住民それぞれに災害に備えるという意識がなければ耐震化は決して進まないのです」
毎日新聞 2008年5月26日 地方版