四川大地震 被災者支援を急がねば
肉親の遺体に泣きすがる被災者がいる。子どもが生き埋めになったがれきの前で立ちすくむ親もいる。
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/93787.html
中国の四川大地震の発生から一週間以上たった。中国政府によると、四川省内の死者数は三万人を超え、なお一万人近くが生き埋めになったままだ。
時間の経過とともに、捜索は難しくなっている。中国は、十九日から三日間を「全国哀悼日」と定め、犠牲者を悼んでいる。
黙とうのサイレンを聞きながら、肉親の救出に一筋の望みを託す人たちの姿に、胸が詰まる。
救助活動が難航する一方で、被災地では新たな問題が起こっている。
復旧作業に当たっていた人が土石流にのみ込まれた。強い余震で死亡した住民もいる。
四川省内には、地震の被害を受けたダムが約千五百ある。決壊して洪水を起こす危険が募る。二次災害から人命を守る対策が欠かせない。
気がかりなのは、被災者への支援が決定的に後れていることだ。
四川省内だけで約四百五十万人が都市部に避難した。負傷者は二十万人を超えている。
病院の収容能力に限界があり、十分な治療が受けられない人もいる。
避難所では、感染症を起こす患者が続出している。施設の消毒など防疫作業を急がねばならない。
子どもを失った親も多い。強いショックを体験して発症する「心的外傷後ストレス障害」が増える可能性がある。精神的ケアも大切だ。
日本政府は、医療チームの被災地への派遣を決定した。
地震国の日本は、避難所での生活支援や医療対策で豊富なノウハウを持っている。住民の医療や生活面での支援に全力を挙げてほしい。
懸命の活動にもかかわらず、日本の国際緊急援助隊は、生存者の救出に至らなかった。
中国側が、地震発生後の早い段階で、国際社会の人的支援を受け入れていれば、と悔やまれる。
中国政府は、首脳が救援活動を現地で指揮するなど、危機管理に神経を使っている。
住民の命を守る姿勢を示し、果敢に取り組むべきだ。政治的危機管理だとの批判を受けたくはあるまい。
国際社会からの支援物資が、被災者に届いていない現実もある。水道や電気の復旧や住宅の手当てなどの対策をまとめることも大切だ。
日本にとって、四川大地震は決して「対岸の出来事」ではない。
大阪や名古屋で直下型地震が起きれば、甚大な被害が出る-。政府の中央防災会議が予測をまとめた。耐震工事が必要な学校も多い。防災面でのチェックを徹底したい。