中国・四川大地震:消えぬ「心の余震」 PTSD、子どものケア課題
【双流県(中国四川省)武本光政】四川大地震で、心に傷を負った子どもたちのケアが課題となっている。一部の避難施設には、病院からカウンセラーが派遣され、励ましの言葉をかけるが、中には心を閉ざす子どもも。阪神大震災を機に、日本で心的外傷後ストレス障害(PTSD)の研究が進むと聞き、現地では日本の支援を求める専門家もいた。
http://mainichi.jp/select/world/news/20080521ddm041030138000c.html
「夢があると信じないと、生きるのがつらいだけ」
四川省の省都・成都市郊外。双流県の成都中信職業技術学校を訪ねると、こんな歌声が響いてきた。同校には家が倒壊した都江堰市などの被災者400人以上が暮らす。その1階教室で、輪になって合唱していたのは被災の中学生約20人。黒板には手書きで歌詞が書かれていた。「あなたたちの未来は明るいと信じてください」。歌い終わると、傍らにいた男性カウンセラーが語りかけた。
同校で暮らす小中学生は約30人。2階の教室では、小学生約10人が女性カウンセラーの指導で、自分の気持ちを絵にしていた。机には、黒いペンで泣いた顔が描かれた白い紙が並んでいた。
同校には成都市の病院などからカウンセラーら約20人が毎日派遣され、子どもたちの精神状態をチェックしている。「家族と連絡が取れず、ただ泣き続ける中学生の男の子もいました」。女性カウンセラーが話す。
明るい兆しもある。同校に避難する子どもは19日から地元の学校に通い始めた。「通学前と比べると(子どもたちは)笑顔を取り戻しつつある」。同校で被災者の世話をする四川省職員、胡源忠さん(38)が語った。
だが、成都市内の精神科医は被災者の精神状態について「1カ月、様子を見る必要がある」と警戒する。一方、被災地の都江堰市で活動した北京安定医院の精神科医、鄭毅・副院長は「ぜひ日本の専門家にも来てもらいたい」とPTSDに関する日本のノウハウに期待感を示していた。
◇余震警戒、学校再び授業中止
【都江堰(中国四川省)武本光政】中国・四川省大地震の震源に近い都江堰などの被災地で20日、19日に再開したばかりの小中学校の授業が中止された。同省地震局が大きな余震への警戒を呼びかけたためで、地震予知の難しさを浮き彫りにした。
「強い余震発生の恐れがあるため、学校再開については改めて通知します。5月20日」。都江堰市郊外の聚源小学校の校門そば。黒板には「緊急通知」が記されていた。
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■ことば
◇PTSD
大災害や事故、犯罪、戦争などで強い恐怖を体験し発症する精神障害。世界保健機関(WHO)などは発症の前提条件を「破局的、脅威的体験」とし、症状が1カ月以上続いたり、体験から1カ月以上後に症状が出た場合にPTSDと判定される。95年の阪神大震災や地下鉄サリン事件で症状を訴える被害者が続出し、社会問題化した。
毎日新聞 2008年5月21日 東京朝刊