TOP >  地震予知ニュース

「地震屋さんたち」机上の対策は役に立つの?

首都圏直下型地震が起きたら帰宅難民で道路が満員電車並みの混雑に……。中央防災会議のシミュレーションが報じられたが、地震想定訓練は実際にはあり得ない警察や消防など救援要員が顔をそろえているのが前提で、このような訓練は役に立たない。予知だ、対策だ、想定訓練だと多額の税金を使っても、何の意味もないのではないか。

http://www.news.janjan.jp/column/0804/0804034166/1.php

 ◆満員電車並み道路で、歩行渋滞?

 首都圏直下型地震が平日の正午ごろ起きたら帰宅難民で道路が満員電車並みの混雑になる……。2日夜のテレビニュース番組から3日付朝刊各紙が、中央防災会議のシミュレーションをおどろおどろしく報じていた。

 マグニチュード7.3の地震が平日正午に発生すると……。約1,252万人が自宅を目指して歩き始める。発生3時間後には、1平方メートルあたり6人という満員電車並みの混雑が、交差点や火災現場の近辺を中心に都内の13区35カ所に広がる。3時間以上その混雑に巻き込まれる人は約201万人。千代田区丸の内から横浜市役所へは15時間弱、埼玉県和光市役所へは15時間強など、普段に比べ2~3倍の時間がかかる……などというのである。

 ◆宮城県沖地震の情景

 じつは私はちょうど30年前の1978年6月12日夕方の宮城県沖地震(マグニチュード7.4=死者28人、負傷者1,325人)の時、出張で仙台市にいた。応援で取材し、2日後の紙面に「過密首都圏に大きな警鐘」という見出しの「記者の目」を書いた。地震が激しければ激しいほど、想定訓練は、ほとんど役に立たないということが、あまりに強烈に印象づけられたからである。

 地震発生と同時に、仙台駅周辺の道路は車で埋まった。20分もたつと車は全く動かなくなった。当然ながらパトカーも消防車、救急車もこの渋滞に巻き込まれ、身動きできない。

 ◆役立たない想定訓練

 翌日、仙台市消防局に取材してみると、非常呼集をかけたにもかかわらず、連絡のつかなかった消防署員が総勢500人中、100人余もいた。宮城県警に電話してみると、「そういう数字は公表できない」という返事だった。警察官の集まりが極めて良好ならこんな返事はなかったはずである。

 仙台市の人口の集中度は、首都圏はもとより阪神地区よりもはるかに低い。それでも緊急車両は身動きできず、消防署員も、警察官も、非常呼集に応じることができない。首都圏では、こういう現象はもっとひどくなる。

 首都圏に限ったことではないが、地震想定訓練は「警察官や消防署員の指示に従いましょう」式がほとんど。警察官や消防署員だけでなく、さまざまな救援要員が顔をそろえているということが前提となっている。このような訓練は役に立たないと、「記者の目」で再検討を提言したのである。

 ◆防災担当者の「役人の論理」

 反響はあった。神奈川県の中枢部にいた知人が「防災担当者に話をしてもらいたいということになるかもしれないが、よろしく」と言ってきた。もちろんOKしたのだが、最終的には沙汰やみになった。彼の言によると、「現実の地震の話を聞くのは有益だろうが、対策をやってもしようがないという無力感につながらないかという疑念が出て、実現に至らなかった」ということだった。

 その時は、まあそんなものかと思っていたが、阪神大震災を経験した後は、こんな態度ではいけなかったと考え直した。神奈川県の防災担当者は、

 <宮城県沖で起きた事態の話を聞き、その教訓を生かした地震対策を立案・決定するのは極めて困難だ。それを県民に理解してもらうのはなおさら難しい。そんな困難な課題にチャレンジするよりも、ともかく型通りの地震対策をやっていた方がラクで、県民のウケもいい>という「役人の論理」から踏み出そうとしなかっただけなのだ。

 ◆巨額の税金を注ぎ込むおおようさ

 よく考えてみれば、地震対策はおかしいことばかり。大元では、「地震予知」が可能かどうかという問題がある。その根本問題をあいまいにしたまま、毎年巨額の税金が注ぎ込まれている。

 現実に大規模地震による死者・負傷者・物的損害を減らすためには、発生日時・場所・規模を特定し、「警報」などの形で流されるものでなければならない。

 しかし、大規模地震の「警報」を出したとすると、それ自体による損害が生じる。たとえば病院が入院患者を、福祉施設が入所者を、安全な地域に移すと想定したなら、莫大な経費がかかる。しかし、予知による警報が出されたのに、何百人も患者を死なせた病院経営者は、明らかに業務上過失致死罪に問われるだろうから、こういうことをやらなければならない。やったうえで何もなかったら、警報を出した国への損害賠償訴訟がひん発するだろう。

 そこまで考えると、日時・場所・規模を特定した地震予知なんかできっこない。できたとしても警報など流せるはずがないのである。

 それなのに国・都道府県・市町村は多数の「地震屋さん」を抱えている。やれ予知だ、対策だ、想定訓練だと言って、多額の税金を使っている。しかし予知はできないのだし、対策の方も大規模地震では役に立たない。

 日本の納税者はおおようだよネ。何の意味もない地震屋さんたちを税金で食わしてやっているのだから……ということになる。

 ◆机上の対策は役立つか?

 冒頭の帰宅難民シミュレーションも、「だからどうするの?」が問いたいのである。新聞記事によると、さまざまな対策によって、混雑に巻き込まれる人数を減らせるというシミュレーションも出た。例えば、全体の3分の1が帰宅を翌日にずらせば、混雑は約半分に減るという。しかし3分の1が翌日にすることなど可能かどうか、疑問というほかない。

 防災会議は、企業や学校に一時的な待機や休息の場所を設けるよう求めることや、主要駅周辺の混乱防止などの対策を立てるのだという。阪神大震災クラスの地震では、

 <机上の対策はありました。誰も対策どおりに動きませんでした>

ということが現実となる。机上の対策があればいいと考えるような人は、ほんとうに地震の怖さが分かっているのだろうか?

関連エントリー

上海市の地震予知システム、7秒前に予報可能に   特定観測地域・観測強化地域による検討から全国を対象とした検討へ   浅間山など5火山に噴火の警戒 日本の火山は活動期に入った??   地震予知について   地震予知の科学 [編]日本地震学会地震予知検討委員会   地震予知   MoPiX特別インタビュー 史上最強の予言者ジュセリーノに聞く!神の助言を元に警告し続けるジュセリーノが目指す世界とは?   社説:大地震から25年 被災体験を共有したい   「潮汐力」が影響 県西部の微小地震 気象庁   大学生が地震のデマ広める「面白半分でやった」   社説:四川大地震 ミャンマーの救援も急げ   地震予知のため?ペットの売れ行きが増大   中国・四川大地震:地震波、地球を2周 浅い震源、長い周期弱まらず--気象庁観測   「長周期地震動」を観測 北京など揺れの原因か   四川省の地震波、地球表面を2周…気象庁が観測   四川大地震の「長周期地震動」、日本でも観測   中国・四川大地震:消えぬ「心の余震」 PTSD、子どものケア課題   四川大地震:小中学校の授業が再び中止…余震警戒   四川大地震、余震情報に募る不安   「死んだ断層」揺れた 主な活動は恐竜時代 四川大地震   「全国瞬時警報システム」導入へ 上伊那地方自治体   「震災時の役割」討議 19年度防衛医学セミナー 石原都知事も講演   地震”天気図“で予測  大防災研、観測システム開発進む   東海地震判定会、新会長に阿部氏・12年ぶり交代   【科学】北海道・有珠山噴火から8年 「予知火山」の象徴   地震判定会、会長に阿部氏・「予知に全力傾けたい」   温泉転じて地震予知に 掘削井戸に計測機器へ設置へ 熊谷   地震・火山噴火予知を統合=観測研究体制の強化求める-文科省   災害情報瞬時に 飯島町が警報システム導入   全国瞬時警報システム導入   「地震屋さんたち」机上の対策は役に立つの?   科学の国際貢献に障害   大地震をカエルが予知?=数十万匹が大移動-中国四川省   軽井沢測候所の新所長・佐藤基和さん /長野   規模、阪神の20~30倍 過去にも多発