【科学】名大研究チーム「ACROSS」開発 震源域を24時間毎日観測
■高精度の「予知」目指す
地震予知は、日本にとって切実で困難な課題だ。直前予知を目指して観測網が整備された東海地震でさえ、前兆現象を確実にとらえられるとは限らない。雲の動きを刻一刻と伝える気象衛星のように、地下の震源域の変化をとらえる観測手段があれば、精度の高い地震予知も夢ではない。名古屋大学を中心とする研究チームは、人工の地震波を使って震源域を常時観測する「ACROSS(アクロス=精密制御定常信号システム)」を開発し、昨年から東海地震の震源域で実証的な調査に取り組んでいる。(伊藤壽一郎)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/disaster/080428/dst0804280830001-n1.htm
アクロスの仕組みを紹介する前に、東海地震を例に海溝型地震のメカニズムをおさらいしておこう。
東海地震の震源域である静岡県の駿河湾では、太平洋側のフィリピン海プレート(岩板)が、日本列島を乗せた陸のプレートの下へ沈み込んでいる。フィリピン海プレートに引きずり込まれる陸のプレートの内部には、ひずみエネルギーが蓄積される。ひずみが限界に達し、プレートが一気に跳ね上がるのが東海地震だ。
現在の東海地震観測網では、プレートが大きく跳ね上がる直前に、動き始めの小さなずれ(前兆すべり)をとらえようとしている。予知というより、地震の初期症状をとらえるという方が正確で、気象衛星や気象レーダーが登場する以前に、雨足や風向きの異変を感じて、台風の接近を予測したのと似ている。
より早く、そして確実に地震の発生を予測するには、地中深いプレート境界周辺の変化をとらえる新たな観測手段が必要だ。直接見ることができない地下の構造を知るには、人工的な地震波を発生させ、地下からの反射波を解析する手法がよく使われる。