いま津波対策は 日本海中部地震から25年
全国の沿岸市町村に対し、国が2010年度までの作成を促す「津波ハザードマップ」。国土交通省海岸室は「自分の住む場所は安全なのか、どこに逃げればいいのかが一目で分かり、住民の避難に役立つ」と防災効果を期待する。全国の対象654市町村のうち、すでに4割を超える自治体が作成、マップを公表している。
http://www.sakigake.jp/p/special/08/tsunami/tsunami_03.jsp
旧本荘市が2004年に作成、配布した津波ハザードマップ
しかし県内では、旧本荘市が津波高5メートルを想定したハザードマップを過去に作成した例があるだけで、合併後の沿岸8市町ではマップ作成はいまだゼロ。旧本荘市の場合も簡易的なマップで、被害予想地が詳細に記されているわけではない。
由利本荘市交通防災課は「財政的にも、細かなデータ解析を市単独でやるのは難しい。同じ想定地震のデータを使えるのなら、より広域的に対応するべきではないか」という。秋田市防災対策課も「マップの必要性は感じているが、県が先頭に立ち沿岸部全体で進めてほしい」と話す。
そんな中、にかほ市は本年度、県内の合併市町村としては初めて津波ハザードマップ作りに着手する。県が1997年にまとめた津波シミュレーションの津波高や遡上(そじょう)距離などのデータを基に、海岸部の地形や標高を加味し、浸水想定を地図上に色分けして示そうというものだ。
ただ、限られたデータで、どの程度の精度を出せるのか不透明。財政的にもゆとりがあるわけではないが、「海抜2、3メートルの低地に人口が集中している」(同市防災課)という危機感が背中を押す。
一方、専門家からは県のデータの「古さ」を懸念する声が上がる。秋田大土木環境工学科の高橋智幸准教授はマップ作りの重要性を強調した上で、「現在の県のシミュレーションは10年以上前のもの。この間、日本海側でも地震の発生状況が徐々に分かるようになった。最新の知見を取り入れてシミュレーションし、危険度をつかみ直す必要がある」と指摘する。
さらに、「人間の想定する通りに地震は起きないというのが今の考え方」と高橋准教授。地震想定の方法自体が10年前とは変わったというのだ。「断層の向きを少し変えるだけで、津波の起き方はまったく変わる。秋田にとって一番被害の大きい想定を使うことが防災の基本。それを基にハザードマップを作ることが大切」と強調する。
沖合に「地震空白域」を抱える本県。国の地震調査研究推進本部によると、本県沖で今後30年以内にマグニチュード(M)7・5程度の地震が起きる確率は3%程度以下。太平洋側の南海、東南海の50―70%程度などと比べ、はるかに小さい数字に見える。だが、日本海側の地震は過去の記録が少なく、未解明な部分が多いというのが専門家の定説。「太平洋側に比べ、秋田が安全だなどとはとても思えない」(高橋准教授)という中で、いかに実効的な津波対策が打ち出せるのか。県や沿岸市町には大きな課題が突きつけられている。
2008.5.28付