中国・四川大地震:識者に聞く 仏国際関係研究所、バレリー・ニケ氏
◇指導部の対応、変化の兆し
四川大地震で多くの人々に強い印象を残したのは、中国指導部とメディアの災害への対応ぶりだ。胡錦濤国家主席や温家宝首相が被災地を訪れる映像がしきりに流れるなど、中国指導部が国民の期待に応えている姿が焦点となった。
http://mainichi.jp/select/weathernews/news/20080530ddm007030111000c.html
地震で倒壊した建築物の質に疑問の声が出ているが、これは途上国共通の問題だ。より注目すべきは、中国指導部が災害に対して正確かつ敏感な対応が絶対条件だと悟った点にある。
中国政府は被災者救出のためにすべての資源や人材を素早く投入する一方、外国からの支援を歓迎する姿勢を見せたのも新たな展開だった。テレビや新聞のニュースは伝統的には「問題の多いパートナー」だった日本と台湾からの支援を大々的に報じた。
胡主席の訪日直後の今回の対応は、特に韓国で李明博(イミョンバク)大統領が誕生し日韓の友好関係が改めて確認された中、中国指導部が日本をアジアにおける重要なパートナーとして位置付け、関係改善を考えている明白な証拠だ。同じことは(親中派の)馬英九総統が就任した台湾との関係にも当てはまる。
地震をきっかけに広まった中国政府の柔軟姿勢は、国際社会の勢力バランスにどのような影響を与えるだろうか。結果を予測するにはまだ性急すぎるが、経済的には国際社会の負担はそれほど大きくならないと思う。
また中国国民の期待は変化しており、中国政府は今後、社会からのより現実的な要求への対応が優先されるだろう。より開かれ、国民のための真の開発に重点が置かれる時、中国は国際社会との関与を深め、より緩やかな外交政策の展開につながるのではないか。【聞き手・パリ福井聡】
毎日新聞 2008年5月30日 東京朝刊